アラフィフおやじ、無職になる。

20年従事した仕事を辞め、野に放たれたアラフィフおやじの日々徒然。

アラフィフおやじの入院生活 ⑦

制限付きながら飲食が許されるようになり、若干人間らしさを取り戻し始めた5日目。
看護士さんが身体を拭いてくれることになった。
ただただ寝ていただけとはいえやはりサッパリする。ありがたい。
そして尿路感染を防ぐためとち〇こも洗われる。
自分の娘とさほど変わらぬ看護士さんにち〇こを洗われても動じないくらいには介護されることにも慣れてきた。

胸の痛みが消え、食事もできるようになったことでなんだかだいぶ回復したような錯覚に陥るが、熱は37度から下がることはなく、不整脈が出たり、異常な低血圧だったり、脱水気味だったりとまだまだガッツリ病人。
さすがにICUだけあって周りの患者さんは自分よりも明らかに症状の重い人も多いのだが、この中にいる自分も重病人なんだなぁと思い知らされる。

今回の心筋梗塞で心臓の受けたダメージ値は4700だと聞かされた。
ダメージ値が5000を超えると狭心症などとの合併症を引き起こすリスクが跳ね上がるのだそうだ。
さらにバルーンカテーテルもなかなかの重症者にしか使わないので、なかなかの重症度なのだということを看護士くんから聞かされた。

例えばテレビドラマなんかで心臓発作とかで倒れるシーンなんかを見て、心筋梗塞ってこんな感じなんだろうなぁと思い描いてた痛みみたいなものがあって、そういう痛みがあったらものすごく死の恐怖みたいなのを感じるに違いないと思っていたんだけれども、正直思い描いてた痛みとはまるで違ったんだよねぇ。

確かに痛かったのは間違いないんだけど、思い描いてた痛みじゃなかった。
だから痛かったものの死の恐怖を感じるような痛みじゃなかったもんだから、比較的軽く済んだくらいに思ってた。

とんでもなかった。自分は死んでてもおかしくなかったのだ。

タバコはやめて10年以上になる。
お酒も舐める程度しか飲まない。
メタボ診断にも引っかかったことはないし、外食ばかりしていたわけでもない。
主治医の先生も、看護士くんたちも、生活習慣にそれほど問題があるとは思えないのに何でですかねぇと首をひねっていた。


まさか自分が。まさにこれである。


自分だけは大丈夫なんて特別なこと、そんなのないね・・・。